日立労組本部へ
組合員有志らが要請
2004年6月11日、日立労組本部・日立グループ連合会館において、日立労組組合員有志ら11名が定期大会に向けての意見反映ということで要請を行いました。
年金問題、「成果・能力主義賃金」、サービス残業、HIワークなど職場に起きているさまざまな問題についての職場の声を届けました
。
(詳細は「全社ビラ7月号」でお知らせします)
要 請 書
日頃より日立労組組合員をはじめ日立関連会社の労働者の生活向上に向けて奮闘されている本部役員の皆様に敬意を表します。
私達は、それぞれ所属する支部や日立グループ労組において、切実な職場の要求実現や労組の取り組みなどについて意見反映と運動を積極的に行ってきました。こうした取り組みは、引き続き各支部において行いますが、日立労組の定期大会前に本部役員の方々に直接私たちの意見を伝え、次期定期大会議案と取り組みへの反映をしていただくため、毎年この時期に要請してきました。今年度も同様の趣旨で要請に伺いました。
日立製作所の03年度の連結決算では、売上額は横ばいながら税引き前純利益では、前年度比約245%の2、371億円となりました。一方、04年度春闘では一時金の前進はありましたが賃金では定昇・ベアさえも要求しないという闘いで数年続いた実質賃下げを打ち破ることはできませんでした。さらに、4月から導入された新処遇制度は「成果・能力主義」の名の下で「賃下げ」や「降格」を可能にした制度で、6月の「評価」を前に職場での不安は高まっています。今年4月からいち早く「評価」が始まった日立ディスプレイズでは、技能職1級から専任職3級に降格される評価を受ける事態も起きています。「成果・能力主義賃金」の下では、若年層も中高年も毎年の「評価」への不安に常にさらされ、長期的な生活設計さえできなくなります。同時に労働条件向上のため労働組合に団結し、要求するという労働組合の存在意義さえも否定したものです。こうした「成果・能力主義」は、仕事への活力、意欲をも失うという警告もあります。私たちは、「成果・能力主義賃金」制度の撤回を求めます。
日立は、リストラ・「合理化」を分社化という形で推し進め、近年では「会社分割法」を用いた分社化を他社に先駆けて行ってきました。その結果、分社化された系列企業の労働条件は著しく低下しました。今春闘のルネサス、HICの一時金結果は「承継法」を適用しても分割時点は維持されるが、その後は低下することを明らかにしました。今年も情報機器事業部のオムロンとの合弁新会社、プリンティングソリューションズのリコーへの売却、素形材・勝田の日立協和への業務移管など、日立の株主利益優先のなかで組合員の権利は益々低下しています。働く者の雇用と権利を守るべき労働組合としてリストラ・「合理化」の結果を直視し、分社化にストップをかける時期です。
厚生労働省の「サービス残業」をなくすための通達や指針が出されていますが、日立の職場ではいまだに「サービス残業」が横行しています。分かっているだけでも(旭)(大みか)(水戸)(日立IE)などの事業所で労基署の指導を受けています。こうした違法な「サービス残業」を一掃する取り組みに労働組合を挙げて取り組む必要があります。「HIワーク」は、厚生労働省の「過労死を生まない残業時間」を超えても除外されないなど様々な弊害があります。茨城では裁量勤務の課長職の方が過労死と認定された例が起こっています。こうした悲劇を生まないためにも実態の把握、適正時間の設定などを本部が率先して進める必要があります。タイムカード、ICカード、パソコン稼働時間連動の全職群への適用などの客観的な記録ができる制度も労組から提起し実現させることも必要です。
日本経済は、国民に「痛み」だけを押し付ける小泉内閣の失政の中で、引き続き深刻な不況を続けています。そして、アメリカの不法なイラク戦争は、ファルージャの民間人を巻き込んで殺戮、違法な捕虜虐待など、まさにこの戦争が「侵略戦争」であることがいっそう明らかとなりました。スペインの撤兵を始め多くの国がイラク戦争から手を引き、アメリカの戦略に反対の声を上げつつある中で、アメリカにひれ伏す小泉内閣の姿勢は、「何よりも平和を」求めるべき労働組合としては許せないものです。今こそ働く者の代表として労働組合が自衛隊のイラク派兵反対の先頭に立つことが求められています。
昨年の健康保険改悪に続き、今年は年金がルール無視の「強行採決」で大きく改悪されました。国民の貧困化が進み「年金が払えない」人たちが急速に拡大されています。自民・公明政権の年金改悪は、いっそう年金が払えない人を増やし、年金制度を壊していくものです。民主党の案も消費税の引き上げを年金財源にするもので、国民・働く者への負担は政府案と同じです。
いうまでもなく労働組合は「労働条件の維持改善をはかり、進んで経済的、社会的ならびに政治的地位の向上をはかること」を目的としています。従ってそれを保障する平和の問題でも、社会保障の問題でも、労働者の権利の問題でも先頭を切って取り組んでゆくべき課題だと私たちは考えます。職場では「派遣」「請負」「パート」などの不安定雇用者が増え続けています。このことは日立の技術・技能が継承されないだけでなく、雇用労働者の賃金ダウン、労働者のいっそうの貧困化が進むことに繋がるものです。「派遣」「請負」社員の正規雇用促進や全国一律の最低賃金を引き上げる課題にも働く者の生活と権利を守る立場から組むべきです。
年々私たちを取り巻く状況が悪化してきています。こうした事態を打破するためにも、労働組合が平和、権利、生活向上、サービス残業解消などの運動でその真価を発揮すべき時です。新しい年度の労組方針が私たちの生活不安を解消し、組合員が平和な世の中で労働条件の向上に夢がもてるような方針となることをめざし、左記の要請内容を検討頂き、実現されることを強く要請します。
記
1、前文指摘の通り「イラク戦争は」違法な侵略戦争です。平和憲法を持つ日本がイラクに自衛隊の派兵を続けることは許されません。民間人のイラク派遣も取りざたされています。ディフェンスシステム事業部を持つ日立労組としては「人ごと」では済まされません。直ちに「自衛隊はイラクから撤兵せよ!」と政府に強く要求すること。
2、自公政権の「年金改悪」は益々払えない無年金者が増え、保険制度が壊れます。民主の消費税増税は国民の貧困化が促進し、生活破壊、不況長期化となります。ムダな公共事業を廃止し社会保障に税金を使うべきです。今回強行された年金改悪を一刻も早く白紙撤回させ、安心できる年金制度建て直しのため、ぜひ組織を挙げて取り組みを行うこと。
3、「成果・能力主義」の新処遇制度は、「賃下げ」「降格」に道を開き、将来不安に常にさらされる制度です。関連会社では一方的な「降格」も出てきています。今回の処遇制度見直しが「人件費削減を目的としない」とした労組見解を堅持し、「評価」で納得できない「格下げ」が出てきた場合は、断固として撤回させる取り組みを進めること。さらに、目標管理制度の職制からの目標の押し付けや恣意的な評価を取り締まること。
4、残業なしでも生活できる賃金水準めざし、関連会社も含めた大幅な賃上げ要求を掲げ推進すること。特に、他企業と比べ著しく低い専任職(旧技能)の賃金水準向上を図ること。また、50才以降でも昇給・昇格できる評価制度となるよう要求すること。
5、分社化、合併などの別会社化に対し、明確な反対の立場に立ち、労働条件の切り下げは許さないこと。『会社分割制度』を利用した合併、別会社化については事前協議を行い、内容を事前に公表して対象者の意思を尊重し交渉すること。やむを得ず分割する場合でも労働条件の低下をさせないこと。また、一年後以降の労働条件の低下も日立労組として監視し、著しい低下となった場合は日立本社へ改善を申入れる取り組みを行うこと。
6、雇用ポートフォリオが会社から提起されているが、勤務地の変更や労働条件の低下を一方的に押し付けられる提案には応じないこと。むしろ、日立関連会社で働く社員、派遣、請負、パート社員など労働者全体の賃金や労働条件の底上げ、全国一律最低賃金の引き上げに取り組むこと。派遣、請負社員の正規採用を会社に要求すること。
7、サービス残業=不払い労働の一掃に向け、厚生労働省の『基準』や『指針』を遵守し、その内容の完全実施を一刻も早く行うこと。HIワークの実態の監視と過労死を生まない健康管理時間上限引下げ、一斉退場日のHIワーク適用不可、過度な仕事の押付けが行われないなどの制度となるよう改善すること。IDカードなどを使った始業・終業時間管理、残業予算で「上限を設定しないこと」の徹底、「労使合意による賃金不払残業撲滅の宣言」、一斉退場日や平日・休日残業時の職場巡視の強化、サービス残業などの実態把握と適正な人員増の要求などを実現させること。
8、昨年度の(茂原)(小田原)(戸塚)(武蔵)、今年度の(旭)(勝田)(え)などの別会社化や関連会社再編・業務移管・株式譲渡などは、そのグループ経営者の意思ではなく日立製作所の方針に基づくものとして行われています。分社化などは結局「労働条件低下」に繋がっています。こうした労働者犠牲の提案に対し、各グループ経営者に対し別労組として交渉・運動を行っても「日立本社が決めた決定」を覆すことは困難です。労働者は数の力・団結で闘うものです。日立グループ労連が日立本社と交渉する機能を果たすよう強化すること。
9、現在のリストラは、地域における関連企業の倒産など日立の各事業所だけの問題ではありません。自治体や下請企業などと共同し、日立のリストラを撤回させる協力・共同を進めること。
10、雇用延長については、60歳以前の労働条件の低下を許さず、シニア所員として希望者全員が体力に合わせ、ゆとりを持って働ける時間・日数と賃金を要求すること。
11、休日増加による『夏休み休暇』の実現や一日の労働時間の短縮を図り、雇用の拡大を図ること。特に「技術の伝承」のためにも若年労働者を正規で採用することを要求すること。また年休完全消化のいっそうの推進など労働時間の短縮に取り組み、年間1800時間を実現すること。
12、労働環境悪化による健康破壊、ストレスによる心身障害を起こさない職場環境作りを行うこと。特にJITによる立ち作業の廃止を即刻要求すること。
13、寮・社宅費の引き下げ、住宅手当の拡充、慶弔休暇の賃金完全補償、作業服の無料化などの福利厚生充実を要求すること。「財形貯蓄利用」までマイナスカウントになるカフェテリアプラン制度を誰でも行使できる制度に改善すること。
14、F・Fプランでは、女性の仕事と家庭の両立を支援する様々な施策を行っていますが、「成果主義」「HIワーク」などの体制の中で仕事と家庭の両立が難しくなる状況が生まれています。子育て期間の仕事の軽減などF・Fプランの理念が生かされる職場環境作りを行うために努力すること。男女雇用機会均等法ができて約20年がたちましたが、まだ女性の地位は相対的には低く抑えられています。女性の格付けや賃金の是正、作業環境整備などを推進すること。神奈川で実施された「企業内託児所」の拡充と他支部での要望アンケート実施や保育園新設を進めること。
15、組合資料は全組合員公開するにこと。特に賃金、格付、一時金実態の調査時報を希望者には閲覧させること。
16、全組合員参加の労働組合活動を作っていく上で十分な職場討議が必要不可欠です。しかし、職場討議がなかったり、討議が短時間で行われたり、「メール職討」となっていたり、組合員への説明や疑問に答え討議を深めることが不充分です。支部段階での討議時間拡大を本部の方針として打ち出すこと。
17、春闘、一時金、労働協約改定など重要なたたかいにはアンケートなどを活用し、全組合員の要求を汲み取る努力をすること。
18、組合役員選挙などの民主・公正化をよりいっそう図ること。特に自由立候補条件制限の廃止、公職選挙法並みの投票の実施によって立候補者と投票者の秘密と権利が守られる選挙制度を実現すること。
19、組合員の政党支持の自由を完全に保証し、組合費からの特定の政党・候補者への寄付・カンパは行わないこと。当面の参議院選挙での特定候補者の押し付けを行わないこと。また、ぐるみ選挙と批判の多い地方選の組織内候補擁立を廃止すること。
以上
2004年 6月 11日
日立労組及び関連会社労組組合員有志
日立支部 佐竹 光生 日立支部勝田分会 舞良 喜久 水戸支部 真坂秀男
国分支部 及川 栄一 大みか支部 馬場 豊彦 旭支部 成木 彦朗
武蔵支部 谷口 利男 研究所支部 小山内 勝 小田原支部 中村 由紀子
えびな支部 関 知男 横浜支部 原 大雄 神奈川支部 宮崎 良司
神奈川支部 小島 崇義 GST支部 戸田 平次
日立工機労組 堀 啓一 HESCO労組 岩間 雅美 日立空調システム労組 多田 義幸
日立ビルシステム労組 大原 直樹 日立インダストリイズ労組 奥山 耕 日立アイイーシステム労組 山口豊太郎
日立ハイテクノロジーズ労組 石橋 清 日立コミュニケーションテクノロジー労組 須崎 明美
日立製作所労働組合
中央執行委員長 根津 和吉 殿
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