日立懇全社ビラ 2003年8月 | 第109号 |
どんなに働いても上がらない賃金 |
日立の賃金・勤務制度改定、そんなに急いでどうするの |
な ん で だ ろ う ?大幅な賃金制度改定で不安増大
今春闘で日立労組が約束させられた『処遇制度の見直し』の基本的内容が公表され、意見集約などが行われてます。
今度の改定は、30年ぶりの大幅な改定です。この内容は日立製作所の社員だけでなく、関連グループ企業にも波及する内容です。
私たちが生活するのに重要な『賃金制度』と『働き方U勤務制度』をたった3ヶ月ほどで決定するという『驚くべき日程』です。これでは理解も納得もできません。こうした重要課題は、1年以上をかけて論議し、組合員にとって不利なことは、会社提案の撤回を求めるべきではないでしょうか。
昇格なければ生活できない!
今回の賃金制度改定案では、定昇がなくなります。昇格がない限り賃金は、そこで頭打ちとなります。上司から評価が低いと決め付けられた人は、何年働いても賃金は上がりません。さらに「降格(賃下げ)もありえる」としています。これでは、上司に最低の評価をされた人は、生活さえできない賃金水準に陥ることになります。
成果・能力の評価は不透明
能力の高さ、成果の大きさは、いずれの基準・ 規定書も抽象的であり、それに適合しているか否かを決めるのは上司の判断です。現行の目標管理制度では掲げた目標を100%達成してもランクは5段階の3ランクで「普通」です。
職場での仕事の進め方は、個人で独立しているのではなく、グループや多くの人との連携で成り立っています。どんなに個人が頑張っても、事業部・グループの業績には直結しない場合が多く、一時金の査定のように不満が発生する要因となることは、明らかです。
若い人には不安増大
中高年はやる気喪失
若い人たちにもこの制度は、大変不安の多いものです。この制度では、たった1回の仕事の失敗や仕事の行き詰まりなどで、降格されうるという不安に怯えながら仕事をすることとなり、結婚、出産、マイホームなどの計画も安心してできません。
中高年はどうでしょう。昇格できず滞留する中高年は行き場を失い、いっそうの職場追い出しが進むのではないでしょうか。
評価をされる人も評価を下す上司もストレスの多い制度です。評価しだいでは職場の雰囲気が悪くなり、働くもの同士が対立、ばらばらとなり、いっそう労働組合の力が低下することは目に見えています。
賃金制度 何が必要か
組合員は、安定した賃金制度で仕事のゆとりを求めています。初任給引き上げや相対的に低い若年者、技能職の賃金水準の引き上げや扶養家族の教育費などの負担の大きい中高年の賃金水準確保が今必要なのではないでしょうか。
『日立懇ビラ』を職場の多くの仲間に
いま日立製作所が進めようとしている「処遇制度改革」は、日立労組の職場での活発な討議はもちろん、オール日立に広げられるものだけに、グループ内で働く全ての仲間に関心をもってもらうことが必要と考えています。
そのため、7月の変則的な休日を活用し、これまでほとんど配布してこなかった職場にも配布してきました。7月16 日には旧茂原工場や旧那珂工場で職場の仲間に手渡し、大きな関心がよせられました。
他国に銃を向けるな!イラク派兵に反対を
裁量労働の導入より
過労死・サービス残業の一掃を 日立では現行の「Eワーク」を最近成立したばかりの「労働法制改悪」を採用して、『裁量労働』(=どんなに長時間残業してもサービス残業とならない)を職場に導入しようとしています。
連合2002年生活白書では、サービス残業を行う理由は「個人に課せられたノルマ達成」「自分の能力向上」が1・ 2位を占めています。成果・ 能力を求められる賃金制度とこの裁量労働制が結びつくと「底なしのサービス残業」となることはこのアンケートからも明らかです。さらにこの裁量労働は、「過労死・ 過労自殺」にもつながる危険があります。日立でも昨年、主任技師の過労死が認定されました。最近の在職死亡を見ても悲惨な死亡が続いています。(掲示板参照)
組合員・働く人たちが求めているのは「仕事のゆとり」です。成果・ 能力で追いまくられ、残業代も支払われず、過労死の不安も増える。電機連合の上部団体である「連合」も反対し、国会・職場・ 地域でも問題となった「裁量労働制」を「待ってました」とばかりに、いち早く職場に持ち込むことは大変危険です。
トヨタでは今年の4月から、会社の門にカードリーダーを設置し、ICカードにより出退勤時間の管理を実施し、サービス残業の防止をしています。日立でも同様な措置が必要ではないでしょうか。
(電機連合2002年電機労働者生活白書から)
日立懇 掲示板
今回は、最近の在職死亡の事例を紹介します。処遇制度が改悪されれば、過労死の危険がさらに増すことになります。
49歳の技師が急死
旧大みか工場では、6月、設計の技師(49歳)が心不全で亡くなりました。1カ月ほどあちこちに出張して、戻ってきて夕飯を食べたあと気分が悪くなり病院に運ばれたが、助からなかったということです。「みんな疲れているからねぇ」、「まだ中学生の娘さんがいるのに気の毒」と話されています。(大みか)
30代の労働者が相次いで在職死亡
神奈川県のえびな事業所内においてこの5月、32歳と38歳の若い労働者の在職死亡がありました。5月20日の38歳の労働者は「心筋梗塞」と報告されました。32歳の労働者の場合、5月11日死亡されましたが後日の15日に報告されると言う状況でした。(えびな)
深夜監査報告書作成中に椅子から転落
今年2月には、関連会社の監査期間内において、監査先の研修センター(宿泊場所)で監査報告書を作成中に深夜0時15分頃、睡魔におそわれ椅子から転落し左肩を強打して鎖骨骨折となる休業災害が発生しています。(監査室)
地下鉄大手町で意識不明で倒れる
今年4月、出張で朝9時30分頃地下鉄東西線乗車のため、東京駅から大手町駅へ移動中、改札を入りホームへ向かう階段を降りている最中に意識を失い転倒し、駅員が来るまで意識がなく、救急車で病院に運ばれました。(ESD)
休業192日の感電事故発生
今年2月、日立事業所で、絶縁ホースの耐圧試験中、被試験機に確認をしようとして印加電圧60Vに対し7kVの検電器を近づけた際放電による感電被災となり、右手肘下部中間から左足膝下中間を切断する、ひどい状況となりました。
これが分社化の結論か!
日立H&Lのリストラ策
家電部門の会社である日立H&L(日立ホーム&ライフソリューション)が、リストラ策を7月に発表しました。その内容は次の通りです。
(1)子会社の日立栃木エレクトロニクスと日立栃木マテリアルの2社を来年4月に合併
(2)子会社の磐城金属鉱業(日立市)を解散・清算
(3)本体の従業員3900人のうち、勤続3年以上を対象に早期退職制度を実施。400人前後を減らす
昨年4月に会社分割法を使って分社化された日立H&Lは、わずか1年で赤字を理由に大幅なリストラを発表しました。本体の人減らしは1割にあたります。
北茨城市の磯原工業団地にある磐城金属は昨年工場閉鎖になり、全員解雇になりました。日立製作所から派遣されていた人で、日立製作所には戻れず解雇された人もいました。
解雇された労働者の気持ちを思うと、日立製作所が進めている関連会社削減の経営方針に憤りを感じます。
戻れない場合には、ブラウザの「戻る」ボタンをクリックしてください。