日立懇全社ビラ 2003年6月 | 第107号 |
安心できるセカンドライフを 年金は権利です 切り下げは許せない
解 決 策 は あ る 公的年金
企業年金
2000年に支給開始年齢の65歳への引き上げ、賃金スライドの凍結、報酬比例部分の5%カットなどの改悪により、年金総額は30代、40代のサラリーマン夫婦で1000万円以上が減額となりました。
政府は少子化が予定されているもとでは、年金の保険料引き上げと給付削減は不可避であるとしていますが、とんでもないごまかしです。
厚生年金と国民年金の積立額は147兆円で5年分にもなるほどの巨額な資金です。イギリスが2ケ月分、ドイツ・フランスが1ケ月分の積立金で公的年金を運営しているのと比べても、異常に多い積立金となっています。
この資金は年金本来のためではなく、財政投融資や株価対策としても運用されています。私たちの老後の生活資金である年金積立金が、信託報酬や手数料を手に入れる金融機関の商売の種にされ、振り回されるのではたまりません。
公的年金に対しては、(1)基礎年金に対する国庫負担を現状の1/3から1/2に引き上げる,(2)巨額の積立金を計画的に取り崩し、年金本来の目的のために使用する,(3)高齢者や女性が働きやすい環境作りをすすめることで、年金の負担増も給付削減も全く必要ありません。日立では厚生年金基金の財政悪化を理由に、国の代行部分を返上すると同時に、キャッシュバランスプランによる新しい企業年金制度を導入するとしています。新制度では現行と比べ、加算年金をすべて選択した人の最低保障(1.5%)は、総額330万円もの減額となります。
運用利回りの悪化による積立金不足が制度改悪の原因ですが、もともと企業年金は企業側の都合によって導入されたものです。
バブル期に高利回りで運用された時期に、その利益は年金本来のためには使われず、ハコモノ作りやマネーゲームに使われ、メリットを享受したのは企業でした。金利が低下、株価が下落し、年金積立金が不足したからといって、企業年金を改悪し、労働者に犠牲を押し付けるのは企業責任の放棄です。
企業年金に対しては、(1)賃金の後払いであり、積立金不足は企業の責任で補填すること,(2)株式による運用(日立は45%)は年金給付額が不安定となり望ましくないこと,(3)年金受給者の既得権を保証させることなどを明確にし、年金受給者と現役者が団結して運動することが大切です。
■あなたの公的年金は?■
(1)老齢基礎年金(定額部分)
20歳から60歳まで保険料を支払った場合
約80万円(年額)、給与の差はなし
昭和24年4月生まれ以降の人は65歳から
(2)老齢厚生年金(報酬比例部分)
50代であれば現在の毎月の給与総額の約2.5倍
たとえば40万円の月給の人は約100万円(年額)
昭和36年4月生まれ以降の人は65歳から
(正確には社会保険事務所へお尋ねください)
年金改悪に反対しフランスでは全国スト
政府がもくろむ年金制度改悪に反対して5月13日、フランス全土で数百万人の労働者がストに決起、百都市以上で行われたデモの参加者は全体で200万人に達しました。デモは労働総同盟(CGT)をはじめ、直前に合流を決定した組合を含めて全国9労組が統一して呼びかけました。
パリでは、「年金のために、みんな一緒に」と書かれた横断幕を先頭に、参加者は「六十歳で満率の年金を」「別の選択を押し付けよう」「けちん坊が政権についている」「みんな一緒に、ウィ、ウィ」などの横断幕やスローガンを叫びながら市内を約四・五キロにわたって行進しました。(2003年5月15日(木)「しんぶん赤旗」)
「年金減額は契約違反」 松下電器0B75人が提訴
退職金の一部を預かって運用、年金として支給する「福祉年金」の支給額を松下電器産業(大阪府門真市)が一方的に減らしたのは契約違反として、全国の退職者75人が21日、同社に減額分計約1000万円の支払いを求め大阪地裁に提訴した。
同社は昨年9月の支給以降、「会社の負担が大きい」として原告らの同意がないのに利率を一律2ポイント引き下げた。(共同通信)[5月21日]
処遇制度及び雇用・勤務制度の見直し論議スタート
2003年春闘交渉において会社が提案した「処遇制度及び雇用・勤務制度の見直し」について、組合が具体的な論議をスタートしました。その内容と問題点は・・・
組合は処遇制度の改革の必要性と方向性について、「実力主義・成果主義の一層の徹底」の観点から、現行制度にこだわらず「最適な処遇制度への改革」を行なうことが必要として、「能力・成果による各人の賃金水準決定、賞与水準決定」をあげています。
雇用・勤務制度については、「法定裁量労働制」「多様性をいかす働き方」の枠組みの整理・拡充など、現在国会で審議中の労働法制改悪の、サービス残業を合法化する「裁量労働制の拡大」や、正社員の派遣代替を目的とした「派遣労働の延長、拡大」を前提にしたとも思える検討内容にもなっています。
組合は、基本スタンスとして、「人件費の削減を目的とした改定としない」としていますが、会社が、現行の年功制賃金と定期昇給制度に代わって導入・強化しようとしている賃金制度は総額人件費削減を至上命題とした、裁量労働制などと一体になった成果主義賃金です。そして「能力と業績」の査定にもとづく賃金で「上がるのもあれば下がるものもある」としています。しかし、総額人件費削減のもとでは、定昇という概念自体がなくなるため、ごく少数の人が賃上げになっても、多数の人は以前より低下する結果とならざるをえません。
この結果、賃金格差が極端に拡大し、一人ひとりがばらばらに切り離され、賃金の個別化となり、「賃金・労働条件は労資対等の立場に立って団体交渉によって決める」という労使のルールを形骸化させ、労働組合から賃金決定権を奪い取り、その存在価値を否定することになります。
会社の具体的提案や組合の取組みに注目して、職場の切実な要求実現と合わせて声をあげていきましょう。
日立懇掲示板
住民の声で 騒音対策実施
日立空調システム(清水)では、寮や社宅の一部が売却され、解体されています。寮の解体において、近隣の住民が騒音被害を訴え、工事業者、日立空調システム、住民代表との間で協議が行われました。その結果、騒音を軽減する解体工法を適用することで合意に至りました。新工法では音がほとんどしないため、近隣の住民も工事が再開されたことに気がつかない人もいました。(清水)
「労働者派遣法」 改悪先取りは違法!
日立RSD事業所のP/I組立では、小田原CMS(日立の孫会社)にP/I組立の業務を委託請負させていますが、下請外注から雇用しているパートタイマーや、派遣先から下請外注に派遣されたアルバイトや契約社員が仕事に就いています。労働者をオールテイクという派遣会社からY下請会社へ派遣し、Y社が小田原CMSから業務を請負っているという業務請負を装った「派遣法」違反に抵触するようなことが2年も前からまかり通っています。(小田原)主任技師の嘆き
ベテラン主任技師の話。
若い技師から、「Oさんの回収作番ありません」と言われたんで、仕方なく「分かった現場代理人の仕事でも請け負って食いぶちを確保するよ」応えたんだ。周りからは「あんなこと言わせていいんですか」と言われたので、「後でみっちり査定してやるから」と言ってやった。それで、仕方なく現場代理人として2ヶ月出張に行ってきたんだ。(関連会社)
結局は年金を選択
今月定年退職を迎える人が、「一晩じっくり考て決めた」と言うので、何がとたずねたら、企業年金を一時金でもらうか年金にするか一晩悩んだすえに、結局年金を選択したとのことです。新しい企業年金制度の導入により、受給額の目減りが心配なので、最初は一時金でもらってしまおうと決めていたが、一時金でもらうと、何だかんだと使ってしまう。サラリーマンのいいところは、少ないながらも毎月決まった収入があることだ。「長いサラリーマン生活の究極の選択」とのことです。(大みか)
今月のワンポイント
ビックリ!社会保険料がボーナス天引き10倍超に
サラリーマンの社会保険料負担が4月から大きく変わりました。政府・与党の改悪によって、厚生年金や健康保険の保険料の計算方法に年収を対象にする「総報酬制」が導入されたためです。 「総報酬制」は、これまでボーナスにかかる保険料は月給の十分の一程度に抑えられていましたが、今回の改悪で一気に月給と同じ料率に引き上げ、保険料をボーナスからもごっそりとるというものです。毎月の給与から引かれる保険料はいままでより減るものの、ボーナスからはこれまでの十倍を超える保険料の天引きとなります。
日立の標準労働者(35歳で賃金30万1700円、一時金年間4.3ヶ月)では年間総額で1万5000円程度の負担増になりますが、ボーナスでの年間徴収額は、今までの十倍超の12万円強になります。
試算によると、一般的には、ボーナスが月収の2.4カ月分を超える人は負担増となり、年収に占めるボーナスの割合が高い人ほど大幅な負担増です。
住宅ローンや子どもの教育費などにボーナスをあてにしている人は家計の見直しが迫られます。総報酬制の導入による日立の保険料率
項 目 変更前
保険料率変更後
保険料率毎月 健康保険 34.00/1000 27.50/1000 介護保険 5.10/1000 4.05/1000 厚生年金 86.75/1000 67.90/1000 賞与 健康保険 4.50/1000 27.50/1000 介護保険 ――― 4.05/1000 厚生年金 5.00/1000 67.90/1000
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