日立懇全社ビラ2002年9月号           ビラのスタイルで表示(199kB)            


    
グループ経営に対抗できる労働組合運動を

                               日立労組と全日立労連の再編
 労組再編の問題点

 日立製作所の従業員数はこの4年間に年平均約5千人の減少となります。今後も茂原・戸塚・国分・小田原・武蔵等が分社化に伴う移籍により、大幅な減少が予定されています。
 こうして組合員数が減少する中、日立労組は会社の「グループ制の深化に対応」するためとして、現状の「全日立労連」を「日立グループ連合」に名称変更し、将来は日立労組を業種別の労組に分割する方向に動き出しています。
 しかし、この再編は労働者の生活と権利を守っていく上で大きな問題があります。

 業績に応じた労働条件

 これまでの労働条件の複線化が、労組の細分割により一層徹底されることになります。分散された交渉では労働組合の交渉力も弱体化します。結果的に業種ごとの業績によって労働条件が決定され、特に労働条件の引き下げ競争が経営側によって行なわれることが予想されます。

 独自労組の交渉が形骸化

 春闘や今年の賃金カットは、日立製作所労使で決定されたものが関連会社労使に押し付けられてくる形をとっています。日立製作所労使が決定した後の交渉では変更は難しく、あえて決定を覆せば関連会社そのものが日立から切り捨てられるという声もあります。こうした状態を防ぐためにも、日立労組と関連会社労組がまとまって交渉をする形が必要です。

 グループ経営に対抗できない体制

 現状の労組再編は、いかに労働組合の力、交渉力を強化するかという観点が欠けています。
 分社化、人減らし、事業閉鎖など、日立製作所からの各事業グループに対するリストラに、日立グループ連合がその数の力によって対抗できる体制を作ることこそ求められています。
 そのためには日立グループ全体での雇用・生活の安定を、未組織労働者も含めて追求していく運動の構築が必要です。

日立製作所の従業員数 全日立労連の将来型

 日立IE(愛知)で宣伝行動

 日立IEシステム(愛知)で転籍強要や、転籍拒否に対するいやがらせ配転が行なわれようとしている問題で、日立懇は8月10日に日立IEの会社門前での宣伝行動と同社に対する要請行動を行ないました。当日は日立懇のほかに一宮地区労連、地域の労働者など総勢29名でビラ配布とマイク宣伝を行ないました。
 36年ぶりの門前宣伝に、出勤する労働者も日立IE向けに作られたビラを受け取って、強い関心を寄せて読んでいました。

  
家計は火の車、賃金5%カットは早急に撤回を



 労金が所得隠し! 労組幹部招待などに

 全国21の労働金庫(労金)が、国税当局の税務調査を受け、約3億円の所得隠しを指摘されました。労金は、業界団体の「全国労働金庫協会」に会費を納入する際、「強化基金」などの名目で納めた会費のうち水増し分から裏金を受け取っていたものです。
 裏金は労組幹部の接待や政治家のパーティ券購入費などに使われていたととのこと。
 職場では、「俺たちから集めた金で飲み食いとはなんだ」「労金には、組合幹部が大勢天下りしてるから」という声があがっています。



  笠戸事業所にサービス残業で調査

 日立の笠戸事業所では、労働者やその家族からサービス残業を訴える内部告発が繰り返し寄せられています。7月、日本共産党林紀子参院議員が事業所に立ち入り調査に入り、改善を強く申し入れました。
 労働時間管理を「自主申告制」をやめ、ICカードによる客観的な管理にするよう強く迫ったのに対し、会社側も「研究してみる」と答えました。また、その後に訪れた労働基準監督署では、監督官も「自主申告制」は不正常であることを認め、「なぜICカードを使わないのか日立に確認する」と回答しました。 →詳細



 4億日 自由時間を放棄


 未消化のまま放棄されている有給休暇が完全取得された場合、一四八万人の雇用が創出され、十一兆八千億円の経済波及効果が発生するという試算を政府の研究機関がまとめました。
 二〇〇〇年度の有給休暇日数は平均十八・〇日ですが、実際に取得したのは半分にも満たない八・九日。常用の被雇用者は四千六百人いることから「年間四億日の自由時間が放棄されている」と指摘しています。


  労組のHP 開設されたが・・・

 日立労組ホームページが社内専用ネットのなかに開設されました。しかし、機関紙などでの宣伝も見かけません。そのためか、職場などでもほとんど存在が知られていないようです。
 社内ネット上にあるだけなので、「実働時間内は閲覧を禁止します」と表示されます。NEC労組の場合、社内専用ですが閲覧時間の制限はないとのこと。松下労組などは社外でも見られます。
 ユビキタスを掲げる日立でこそ、労組のホームページを職場や家庭で自由に見られるようにする必要があるのではないでしょうか。



日立懇掲示板


教育の手話通訳にボランテアの人

 (システム)の教育で、聴覚の不自由な受講者に対して、手話通訳者が2名ついて対応していました。ボランテアの人らしく、専門用語が多くて大変そうでしたが、一生懸命でした。バリアフリーの取組みとして積極的に進めてほしいです。(システム)


5%カットの補填はビールで

 恒例の夏祭りで、乾杯の挨拶に立った工場幹部が、「給料5%カットは、このビール(アルコール5%)を飲んで取り戻しましょう」と。
 会場からは、「座布団一枚、と言いたいけど、悪い冗談だね」との声。(大みか)


賃金5%カットのまま新会社へ?

 現在日本AEシステムに出向の人は、10月に正式に転属になります。職場では「5%カットのまま新会社へいくことになるのか」と不安を募らせています。(国分)


カフェテリアプラン制度の欠陥明らか

 カフェテリアポイントの昨年度の消化率は、75.6%であり、未消化金額は6.5億円(一万六千人分相当)でした。職場では、「手続き面倒なので使わなかった」「使用範囲が限定されている」などの不満があり、「期初めに現金支給してほしい」という声が圧倒的です。(武蔵)


オピニオンサーベイ回収率アップには

 先ごろ実施された第2回目のオピニオン・サーベイ。全社で回収率UPに必死の様子でした。職場では「5%賃金カットについて意見を聞く項目でもあったら回収がぐんとよくなるかも…」といった会話が交わされていました。(中研)


組合大会で会社の赤字強調

 勝田支部の定期大会で、来賓の日立労組本部副委員長(新任で大みか支部選出)は、あいさつの中で「四千八百億円の赤字は、一万円札で積重ねると富士山より高くなる」と赤字を強調し、「賃金5%カットはやむをえなかった」と、会社を代弁する発言を行ないました。出席者からは「それは組合本部役員が言うことか!」と怒りの声。(勝田)




今月のワンポイント

 働きがいのある職場をつくるための提言

        自前のモノづくりで働くよろこびを

 日立は、「スピードのためには自前主義は捨てる」として、これまでライバルだった企業間で製品・業種の提携をしたり、欧米企業との連携、ベンチャービジネスの買収をくり返しています。また、コスト削減のため、モノづくりの全面外注化や生産拠点を海外、特に中国に移す動きも盛んです。しかし、このような経営施策は、自社のモノづくりの機会を失い、技量の流出と低下を引き起こし、開発力の低下、技術の空洞化をまねきます。また、OJTによる技術の伝承も失われていきます。その結果、製品の品質低下や製品事故を生む大きな要因にもなっています。
 会社の長期的な発展とモノづくりを通して働くよろこびを取り戻すためにも、「世の中がどのように変化しようとも、モノづくりの大切さは変わることはない。それが日立のDNAであり、伝統的な強みでもある(庄山社長メッセージ)」を名実ともに実行する自前中心のモノづくりが大切です。
 次回は、「人間らしく働くためのルール」を予定


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